東証グロース上場の旅行会社L社~新社長を外部招聘して出直しへ|特別情報
8月29日に公表された特別調査委員会による調査報告書で、8億円に上る雇用調整助成金および緊急雇用安定助成金(以下雇調金等)の不正受給の詳細が明らかになった。3月11日に東京労働局から送られた「雇調金等の自主調査のお願い」と題する書面から調査が始まった。報告書は過去の2つの不正事案のおさらいから始まる。1つ目は令和2年に発覚した法人営業部門の従業員による不正事案で、売上・原価の架空・過大計上や金券類の不正取得・換金についてである。2つ目は4年に発覚したGoToトラベル給付金の不正受給で、給付金の支給を目的とした資金の循環取引が行われていた。のちに当社が中心的な役割を担って循環取引に加担していたことが判明し、5年2月に創業者で代表取締役会長兼社長のX氏が引責辞任した(取締役も辞任)。今回の不正受給は2年3月から行われており、先の2つの不正行為期間と重なる。不正受給は常勤役員のグループLINEにX氏が投稿した「全員休日にすれば、7,000万円もどってきます」「出勤は自由。ただし休み扱いで助成金を貰う」から始まる。心ある2名の従業員が外部の弁護士に相談すると、「1日8時間以上は出勤扱い、8時間未満は休業申請」へと若干の方針転換がなされ、通報した従業員は懲戒処分となった。監査役会やリスク・コンプライアンス委員会への報告は、「休業中の業務指示」と言い換えて実態を隠蔽し、不正受給は4年11月分の申請まで行われた。不正はこのほかに、ソフトウェアの費用計上の見送りと従業員の旅行手配ミスによる損失先送り問題も取り上げている。当社は3年に2度サイバー攻撃を受けており、その対応策として33百万円を投じてソフトウェアを導入した。そのソフトウェアは本来4年3月期第2四半期で費用計上するべきものを資産として計上し、同期の本決算になって減損損失として計上している。このとき、実態とは違う請求書を作成するなど監査法人には一部の事実を伏せて説明していた。一方、旅行手配ミスは平成28年4月に発生したもので、損失を隠すため、架空取引による売上・仕入の過大計上のほか、架空売上の回収偽装のため金券類を不正に取得して現金化していた。損失隠しは令和2年3月まで行われた。X氏の後任社長に就任したY氏も不正受給を知りながら受給申請の承認を続けていた責任をとって9月1日付で辞任(取締役も辞任)し、その後任に取締役執行役員のZ氏が昇格したが9月25日に開催される定時株主総会までのワンポイント。新社長には大手監査法人での勤務経験のある公認会計士の…
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