2023年4月26日 公開
東証スタンダードの宅配サービスN社~今期も赤字見通し|特別情報
このほど令和5年8月期中間決算を発表した。売上高は253億86百万円(前年同期比11.7%増)と拡大が続く。一方、通期予想は営業損失170億円、経常損失169億円、当期純損失169億50百万円と5期連続での赤字見通しだ。中間決算での営業赤字額はコスト削減により縮小したが、売上原価や先行投資が嵩んで87億39百万円(前年同期は224億22百万円の損失)と依然として大幅な赤字だ。7年8月期には営業損益で黒字化目標を掲げるが、実現可能性のある計画なのか、注目が集まっている。国内最大級のフードデリバリーポータルサイトを運営。多数のジャンルの飲食店が出店している。前期末時点での加盟店数は10万店超、アクティブユーザー数は873万人で国内トップのシェアを誇る。前期におけるGMV(流通取引総額)は2,201億円に拡大している。2年4月以降は筆頭株主のX社などを引受先とする第三者割当増資で資金調達を進めてきた。そのため、長らくの赤字だが、中間決算時点の自己資本比率は78.9%(純資産額455億13百万円)と財務基盤は強固だ。業績はコロナ禍の巣ごもり需要が寄与して大幅増収だが、多額の赤字が続く。この問題は売上原価と広告宣伝費などの各経費が嵩んでいるため。売上原価の大半は配達代行への業務委託費用だ。当社はデリバリー機能を持たない飲食店に対し、自社や業務委託の配達員が料理を届ける「シェアリングデリバリー」を令和2年以降本格的に開始し、シェアを拡大してきた。ただし、注文の増加で売上原価が急増。前期には売上総損失で19億9百万円(3年8月期は120億2百万円の黒字)に転落した。ここからさらにテレビCMや割引クーポンをはじめとする広告宣伝費などが嵩んで、前期の営業赤字額は365億95百万円に拡大した。一方、今期に入り、配達報酬の適正化は進み中間決算では売上総利益46億37百万円(前年同期は33億89百万円の損失)と黒字に転じた。それでも広告宣伝費などの経費負担は重く、冒頭のとおり、多額の営業赤字。今期からは広告宣伝費の抑制や固定給のアルバイト配達員を件数に応じた報酬体系の業務委託へ切り替えを進めて各経費を圧縮する方針だ。3年前に策定した今期までを期間とする中期経営計画はGMV3,400億円、売上高970億円、営業利益120億円だが、いずれも未達はほぼ確定している。なかでも深刻なのは中間期のGMVは542億円(同11%減)、アクティブユーザー数は769万人(同10%減)と減少に転じたこと。コロナ禍の収束傾向で・・・
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