2024年11月27日 公開
東証プライム上場のスポーツ用品販売L社~海外事業失敗で債務超過転落|特別情報
先行投資した海外事業の収益が悪化し、令和6年12月期第3四半期で2億17百万円の債務超過に転落している。スポーツの専門誌を出版するX社の出資で設立され、スポーツ用品の販売と周辺事業を幅広く手掛けている。メディアによる情報発信で集客するビジネスモデルとなっているのが特徴だ。設立以来、着実に業績を伸ばし、平成16年4月に東証マザーズへ上場すると、27年5月に東証2部に市場変更し、同年9月には1部へ指定替えしている。コロナ禍にあって3密を避けられるスポーツには注目が集まり、令和5年12月期の売上高は過去最高となる529億円を計上した。この間、平成28年4月に米国の企業Y社と資本業務提携を締結し、30年7月にY社の株式を追加取得して連結子会社にすると、令和4年11月には122億円を投じて出資比率を97%まで高めた(現在の出資比率は98%で、残りは同社経営陣が保有)。また、同年8月にY社は関連事業を87億円で取得している。当社は合計209億円になるこれらの資金のうち60億円は投資ファンドが組成するSPCに優先株式を割当てて調達し、残る149億円はシンジケートローンで賄った。このシンジケートローン及び優先株式投資契約には財務制限条項が付され、その内容は「5年12月期決算の連結当期純利益を12億50百万円以上に維持する」というものであった。しかし、結果は1億58百万円の利益にとどまり、財務制限条項に抵触したことで継続企業の前提に関する重要事象等が記載された。なお、優先株式には普通株式への転換請求権がない代わりに金銭対価取得請求権が付与されている。いずれも今年6月に契約を更新したことで抵触事由は解消した。なお、シ・ローンの返済期日は9年7月31日となっており、優先株式についても金銭対価取得請求権が消えたわけではない。今月12日に発表された6年12月期第3四半期決算は、売上高こそ8.8%増の417億円となったものの、最終赤字は21億円(前年同期は1億37百万円の黒字)となった。また、期首に6億円の最終赤字としていた予想は・・・
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