1.高度情報化社会の情報格差
企業活動にとって情報が重要な役割を担っているのは、歴史的に見ても異論のないところでしょう。 しかし、これまで大企業と中小企業の間には、ヒト・モノ・カネといった経営資源面をはじめとした諸格差があり、特に迅速な情報把握と的確な情報処理能力については大きな差がありました。
高度情報化時代を迎え、大企業は豊富な資金力で積極的な情報投資を行い、情報の伝達・処理・保存の大量化、高速化、低価格化を実現してきました。 これにより、企業間の情報伝達・処理能力が飛躍的に高まり、企業間の取引コストを大幅に低減させることが可能になったのです。 これに対し、中小企業では、1社で多額の情報投資を行うことが難しいことから、公的支援を受けながら、組合制度を活用した組織的な対応で情報格差を克服するよう努めてきました。
2.価値が高まる企業情報
われわれは、なにげなく「情報」という用語を日常的に使っていますが、果たして「情報」とはどのような意味を持つのでしょうか。 シャノンは、情報とは「不確実性を含んでいる事象の不確実性の程度を減らすもの」と定義しています。 企業は、経営環境の変化を直接的に影響を受けますが、その変化は不確実なもので、予測することは非常に困難を極めます。
しかし、予測することが困難だからと言って、成り行き的に経営を行っていたのでは、企業の将来はありません。 そこで、できるかぎり正確な情報を収集することによって、不確実性を低めていく必要があります。 情報量を増やせば不確実性は低くなりリスクは軽減されることになりますが、反対に情報処理コストは高まってしまうという矛盾が起きます。
情報処理コストを低く抑えるためには、把握すべき情報の範囲を限定することが必要です。 中小企業では、自前で情報の範囲を限定することが難しいことから、専門的な見地から情報を収集・分析・加工し、提供するビジネスに依存せざるをえません。いわゆる企業情報サービス業です。
3.IT活用事例:メールマガジン「アスナ」
〜その日の最新情報をインターネットで配信〜
昭和36年に北九州市で創業した東京経済株式会社(越智英雄社長)は、企業信用調査とその調査をもとにした情報誌の発行を主な業務とした企業情報サービスの会社です。 現在では、地場九州の企業情報のみならず、東京、大阪、名古屋と全国に拠点を置き、企業情報を調査・提供するまでに成長しています。
企業情報を提供する「東経情報」は、創業翌年より創刊し、今では8000号(毎週月・水・金曜発刊)を越えるほどの長寿商品となっています。 企業情報の内容としては、倒産企業の概況報告、債権者名、各業界のニュース、企業近況、新設会社、各地法人申告所得、業種ランキング等々、毎日の調査・情報取材の中から、企業経営、商取引上で参考となる資料が編集されています。 平成12年秋には、これまでに蓄積した企業情報ノウハウをもとに、企業経営をトータルにサポートすることを目的としたコンサルティング事業部を発足させています。
コンサルティング事業部では、企業診断をはじめ、ISOやM&A、FC、株式公開などのコンサルティング事業を行っていますが、その事業の一つに今回紹介するメールマガジン「News ASNA (以下、アスナと呼ぶ)」があります。
企業情報サービス業界初のメールマガジン「アスナ」は、先に紹介した企業情報誌「東経情報」を情報提供のスピード面で補完することを目的としてインターネット配信されています。
「その日の最新ニュースw誰よりも早く」をコンセプトに、毎日午後3時には契約者のメールアドレスへ直接配信されます。 また、重大ニュースは「号外」として別途即時配信がなされることから、最新情報で会員企業のリスク軽減とライバル企業との差別化に役立っています。 配信エリアを、東日本版、関西版、中国版、九州版の4版に分け、より地域に密着した情報を届ける体制となっており、携帯端末対応も可能なiモード用配信も用意されています。
配信情報の内容は、企業の最新ニュース(新製品の開発や人事等)を紹介する「アンテナ」、企業の倒産情報を提供する「スクープナビ」の2分野で構成され、より詳しい情報については、週3回発行される「東経情報」によりじっくりと分析できるようになっています。 このため、従来からの紙ベースの「東経情報」と、IT時代におけるネット対応の「アスナ」とは、同じ企業情報を内容とするとはいえ、会員企業のニーズにより、情報のスピード面では「アスナ」を、情報量の豊富さでは「東経情報」をといったすみわけができています。
4.情報配信へのIT活用成功のポイント
(1)配信スピードと情報収集の人的能力
インターネットを活用した情報配信については、まずスピードが求められます。「情報は生もの」とも言われ、すぐに陳腐化してしますからです。 また、配信するための情報を収集するのは、あくまでも人であり、機械的にできるものではありません。情報を収集する人的能力によって、配信される情報に大きな差がでてきます。
(2)差別化されたサービス
無料のメールマガジンが氾濫しています。そのような中で、有料の情報配信を行っていくためには、差別化されたサービスの保持が不可欠です。 他では得られない付加価値の高いオリジナルな情報を提供できるかどうかが鍵となります。 また、情報の特性として、規模の経済性がより強く作用することから、その真価が発揮されることになります。さらには広範囲で大量の情報を瞬時に処理する能力も求められます。
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